阿佐部伸一 リポート集

東南アジアの人びと

感染最多100人の沖縄で思ったこと

 

国際通り、8月8日午前11時。軒を連ねる飲食店や土産物店、ライブハウスなどには「休業」や「閉店」の貼り紙が目立ち、人通りは殆どなく、まるでゴーストタウン(写真)。全国的なコロナ第二波で官民ともに苦慮するなか、沖縄県も8月7日「過去最多の100人が感染」と発表しました。奇しくもその日と翌日、先月から入っていた新型コロナとは関係がない撮影の仕事で那覇市へ行ってきました。沖縄では1日から15日までの予定で県独自の緊急事態宣言を発出中ですが、その宣言期間の半ばで人口10万人当たりの新規感染者数が31.57人(直近1週間)と全国最多になってしまったというわけです。

宿泊した那覇市中心部のホテルでは稼働率は1割ほど、名物の大浴場は閉鎖、朝食時には検温に加えてビニール手袋を客にも配っていました。国際通りのアロハシャツ専門店では「7月には少し戻りましたが、今月に入って再びお客さまが来なくなり、辛うじて伸びている通販で何とか凌がなければ」と。多くの飲食店が営業自粛し夕食に困るなか、知人が「あそこなら開けているのでは」と教えてくれた沖縄料理店では「縁側で蚊取り線香を焚きながら板間に風を通し、22時閉店と時短営業としているんですが…」と。伝統的民家を再現した中庭を囲む十数室に客は当方を含めて3組だけでした。 

感染者急増について、県は特別養護老人ホームを含めた7例のクラスターを確認している一方で「PCR検査数は増加しており、冷静に受け止める必要がある」とも。予約時刻の10分以上前に迎えにきたタクシー運転手は「沖縄は大丈夫と油断していたんだと思いますよ。本土がひどかった時に、あまり感染者が出ていなかったので」と。地元放送局のディレクターは「米兵よりも、GO TOトラベル等で最近本土から来たグループ客が引き金になったのでは」と見ていました。高齢者への感染を憂慮し、今年のお盆は帰省客が沖縄でも激減しそうです。

新型コロナが「指定感染症」とされたのは1月末。それゆえに隔離入院や休業要請など行政や政策が絡むことになりました。コロナ渦は看過できないと思う一方で、ベースとすべき科学も研究途上で様々な説があり、報じ方に悩みます。そもそも命と経済、文化といった同じ天秤にはかけられない異質な価値の間で社会のコンセンサスが形成されるまでには、意見の交換や理解に相当な時間が必要です。中央・地方政府の発表や政策を声高に報じるだけでなく、異なる見かたや意見をもっと取り上げていくべきです。真っ白な雲が浮かぶコバルトブルーの空から突然のスコール。そんな那覇空港をがらがらで離陸した機内で、改めてそう思いました。

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